法談
「演ずる私も聴くみなさんも、ご縁で結ばれた仲間のひとり」
「音楽は私ができる聴聞」
別院報恩講で音楽演奏
奈良・光明寺住職三浦明利さん

残りニ週間を切った「名古屋別院報恩講」。この期間中、十五日の協賛行事で、一人の女性シンガーソングライターが楽しいひとときを演出してくれる。 「ご門徒さんと共有できる楽しい時間になればいいですね。歌を通して元気をいただいたり。親鸞聖人のお徳をしのびながら阿弥陀さまの前で皆さんとひととき を過ごしたいと思っています。貴重なご縁をいただいたので、一期一会の出会いを大切にしたいです」

ご門徒との出会いを心待ちに、その思いを語ってくれたのは関西を中心に音楽活動を展開している三浦明利さん(25)、現在、奈良県吉野郡の光明寺住職。また、龍谷大学大学院では真宗学を専攻し、仏教音楽の研究をしている。

今回は自作曲をはじめ、仏教讃歌や童謡を中心に選曲されるそうだが、彼女の原点ともいえる大好きな音楽と出会ったきっかけとは何だったのか。

「楽器に触れたのは早かったですね、四歳からピアノを習っていましたから。中学生の時にギターに出会ってからは、さらに音楽にのめり込んでいきました。一人で弾くのも好きでしたが、同じ趣味の友人たちと集まって演奏したり、バンドを組むことで音楽仲間の輪が広がっていくことが何より魅力でした」

ギターとともに歩み、作詞作曲を始めるなどの充実した日々を過ごした学生時代。その活動はより大きなものへとなっていく。
女性バンド『Moga Hoop(モガフープ)』の結成である。

結成わずか半年で各種コンテストでグランプリを受賞。また活動の集大成ともいえるCDデビューを果たすなど、順調な道のりを歩んできた『Moga Hoop』。バンド活動を通して、三浦さん自身が学んだことは多い。

「バンドというのは、多くの支えがないと活動できません。メンバーはもちろん、多くのスタッフや音楽を聴いてくれる観客がいて、初めて『Moga Hoop』として活動ができる。ライブやコンサートなどを含めて音楽というのは、一人で作るものではなく、みんなで作るものだと気づかされました」

現在はシンガーソングライターとして本山や他寺院、また老人ホームなどを中心に演奏活動を行っている。「今まではステージの上から一方的に歌を歌っていただけかもしれません。しかし、ビハーラの看和ケア施設の出会いから、私も参加者の一人であることを教えていただきました」

音楽活動を通して、また多くの支えの中で成長し、住職として多忙な日々を過ごす三浦さん。大好きな音楽とはどのように向き合っているのだろうか。 「お勤めやお念仏をいただくことは自分の声を向き合う大切な時間でもあります。これほど落ち着いて耳を澄ませる機会は今までありませんでした。自分自身をみつめなおす時間を阿弥陀さまが用意してくださったのではないでしょうか。そういった面ではライフスタイルに多少の変化はありますが、毎日が新鮮で充実しています。

住職になってからは、音楽を続けることができないのではないかと考えている期間がありました。そんなとき、ライブのお誘いがありました。その時は通夜や葬儀でのキャンセルで迷惑がかかると思い、お断りしましたが、先方はそれでも良いので受けてほしいと言ってくださったのです。私は『音楽を続けてほしい』というメッセージだと受け取りました。そして私が僧侶として生きることと、音楽とは切り離すことができないものであると確 信しました」

自分にできること、それは音楽を通して阿弥陀さまが示してくださった『信心』を共に喜び合えるような時間をもつことだと、その熱い思いを語る三浦さん。

音楽を聴聞の場と捉える彼女が最後に残した言葉、それは「音楽は心に響くもの。音は言葉以上に表現できる可能性を秘めている」

三浦さんが私たちに投げかけたメッセージ、ぜひご自身の耳で確かめて欲しい。